【第五幕:断章】レイン・サークル
六人の演者は順に散り、四方八方に置かれた金属パイプを叩きだす。
一人は四分で抑揚無く
一人は八分で抑揚をもって
一人は十六分で抑揚無く
一人は三分で抑揚をもって
一人はアクセントで抑揚無く
一人はランダムで抑揚をもって
一定時間後、ハーシュノイズがフェイドイン
演者1:
(傘を差し出す)
「雨が降るよ」
演者2:
(傘を受け取らず)
「私に顔はない、あるのは水晶のような、無色で透きとおる物質だ
絶対的な他者とも違う、離脱した魂の俯瞰でもない」
演者3:
(傘を受け取らず)
「所有と使用のルールが狂い、経済主体性の神話が崩れはじめた
私に顔はない、あるのはアメーバのような、分離と自滅を繰り替えず物質だ」
演者4:
(傘を受け取り)
「壁の落書きは墨で書け、インキじゃ駄目だ、インキは其処に止まらない
墨ならば永遠に止まり、警鐘を鳴らし続けてくれる」