2007/07/19

【第五幕:断章】レイン・サークル

六人の演者は順に散り、四方八方に置かれた金属パイプを叩きだす。

   一人は四分で抑揚無く
   一人は八分で抑揚をもって
   一人は十六分で抑揚無く
   一人は三分で抑揚をもって
   一人はアクセントで抑揚無く
   一人はランダムで抑揚をもって

   一定時間後、ハーシュノイズがフェイドイン

演者1:
(傘を差し出す)
「雨が降るよ」

演者2:
(傘を受け取らず)
「私に顔はない、あるのは水晶のような、無色で透きとおる物質だ
 絶対的な他者とも違う、離脱した魂の俯瞰でもない」

演者3:
(傘を受け取らず)
「所有と使用のルールが狂い、経済主体性の神話が崩れはじめた
 私に顔はない、あるのはアメーバのような、分離と自滅を繰り替えず物質だ」

演者4:
(傘を受け取り)
「壁の落書きは墨で書け、インキじゃ駄目だ、インキは其処に止まらない
 墨ならば永遠に止まり、警鐘を鳴らし続けてくれる」